数年前までおれはJRAのお手盛り雑誌「優駿」の熱心な読者でした。読めば馬のことがよく分かるかもしれないと思ってのことでした。当時、浅田次郎は「優駿」に連載を持っていて、そのときおれははじめて浅田の文章を読んだわけです。
そのときは「これが鉄道屋の浅田次郎か」くらいにしか思いませんでした。と同時にずいぶんヤマっ気のある作家だなと思ったものです。いくつか作品を読んだ今もこの印象は変わっていません。

さてこの一週間で『プリズンホテル』全4巻を読みきりました。朝の通勤電車のなかはもちろん、会社での休憩時間、帰りの電車のなかそして帰宅してから布団の中でも読んでの結果です。

なかなか面白かった。

4巻すべて読んで、主人公・木戸孝之介は作者・浅田をなぞっているんだなと気付きました。
木戸は、性格破綻者のサディストとして登場しますが、巻を追うに従って角が取れていき丸くなっています。1巻ではどうしようもなくイヤな奴ですが、4巻に至ると気の毒で愛すべき人間にすっかり変身しています。
木戸の変身=浅田の変身だと感じるのはおれだけでしょうか。

浅田は『プリズンホテル』の後、次々と名作をものにし、『鉄道屋』で直木賞作家にまで上りつめました。その部分も作中の木戸とオーバーラップします。。。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索