ISBN:4062732459 文庫 宇江佐 真理 講談社 2001/09 ¥540

『春風ぞ吹く』が意外に面白かったので、宇江佐真理の第二冊目として本書を読んでみました。これまた別の意味で面白かったです。

面白いなと思ったのには色々理由がありますが、そのうちのひとつが、立て続けに「医者」の時代小説を読んだためだと思います。

まず本書『室の梅』。
主人公は、ちょっと変わっていて「検死専門の医者」。今で言うなら法医学の医師ですね。法医のうんちくもなかなか面白いし、小説としても変わっている。一件落着しても、すぱっと終わらない。

次が藤沢周平の『獄医立花登手控え』シリーズ。
主人公は、「牢医者」。江戸の小伝馬町にあった監獄に勤める医者である。医学に関するうんちくより、江戸時代の刑罰や囚人の処遇、取調べなどのうんちくが楽しめる。

あとの2作は、ずっと前に読んだもの。

まず、司馬遼太郎『胡蝶の夢』。
そして、手塚治虫『ひだまりの樹』。
どちらも、幕末に医学が「漢方」から「蘭方」に大きく変わっていくなかで、人の命を救うことが第一義としながらも、漢方医との権力闘争にものめり込んでいく蘭方医の姿が描かれていて興味深いです。

いまは合理的な、「蘭方医」の末裔であるお医者さまの独擅場ですが、いまだに「漢方」がいいという人もいますね。まだまだ人の体というものには、分からない部分が多いということでしょうか。

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